「これまでリファラルで採用を進めてきたけれどちょっと限界がきたな・・・。そろそろ本格的に採用をはじめたいけれど、何からはじめたら良いですか?」
そのようなご相談をいただくことも増えてきました。初めて外部から人を採用するという類の相談です。
スタートアップの採用は、企業の成長を左右する重要なプロセスです。しかし、大手企業とは異なり、スタートアップには特有の課題と注意点があります。採用活動を成功させるためには、自社の現状と課題を正確に把握し、戦略的な計画を立てることが不可欠です。本記事では、採用活動を始める前に知っておくべき重要なポイントを解説します。
スタートアップ採用は難しい?
スタートアップの採用は難しい・・・
そう言われることは多々あります。
なぜなら、大手企業と比べて圧倒的に知名度が低く、採用予算も限られているから。福利厚生や給与面でも、大企業には敵わないと感じるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか。結論から言うと、スタートアップの採用は決して難しくありません。むしろ、大企業にはない独自の強みを活かせば、優秀な人材を獲得することは十分に可能です。
スタートアップが持つ最大の魅力は、「成長機会」です。事業の立ち上げから関われること、裁量権が大きく、自身の意見が事業に反映されやすいことなど、大手企業では経験できないエキサイティングな環境があります。また、少人数だからこそ、経営陣との距離が近く、フィードバックを直接受けられることも大きな利点です。これらの強みを明確に打ち出し、候補者の「成長したい」「社会にインパクトを与えたい」という意欲に訴えかけることが、スタートアップ採用成功の鍵となります。
具体的には、求人票や面接で「入社後、どのような役割を担い、どのような経験を積めるのか」「その経験が、候補者のキャリアにとってどのような価値を持つのか」を具体的に語る必要があります。単なる業務内容の説明に終始するのではなく、その仕事がもたらす「未来」を提示することが、候補者の心を動かします。
スタートアップ採用における「採用ブランディング」の重要性
「採用ブランディング」と聞くと、大企業が行う大掛かりなプロモーションをイメージするかもしれません。しかし、スタートアップこそ、採用ブランディングに真剣に取り組むべきです。なぜなら、スタートアップの採用においては、「企業そのものの魅力」が、最大の武器になるからです。
採用ブランディングとは、単に企業のロゴやキャッチコピーを作るだけではありません。「私たちはどんなミッションを掲げ、どのような価値観を大切にしているのか」「どんな人たちと一緒に働きたいのか」といった企業のアイデンティティを明確にし、それを一貫して発信していく活動です。
具体的な手法としては、自社ブログやSNSで社員のインタビューや日々の業務風景を積極的に発信したり、採用ピッチ資料を作成して社内の雰囲気を伝えたりすることが挙げられます。また、カジュアル面談などを活用し、一方的な説明ではなく、候補者と対話する場を設けることも非常に有効です。
これらの活動を通じて、「この会社で働きたい」「この人たちと一緒に働きたい」と候補者に感じてもらうことが、採用ブランディングの最終的なゴールです。
スタートアップ採用を成功させるための具体的なステップ
スタートアップ採用を成功させるためには、計画的なアプローチが不可欠です。まずは、採用活動の最初のステップとして、「どのような人材が必要か」を徹底的に言語化することから始めましょう。
次に、その人物像に響くようなメッセージを作成し、適切な採用チャネルを選定します。スタートアップの場合、大手求人媒体よりも、WantedlyやLinkedInのようなSNS型の採用プラットフォームや、リファラル採用などが効果的なケースが多いです。
そして、選考プロセスにおいては、候補者一人ひとりに丁寧に向き合うことを心がけましょう。選考スピードを意識することはもちろん、面接のフィードバックを具体的に伝えたり、入社後のキャリアパスについて丁寧に説明したりすることで、候補者のエンゲージメントを高めることができます。
項目 | スタートアップの強み | 大企業の強み |
仕事の裁量 | 大きい | 比較的限定的 |
成長機会 | 多岐にわたる | 専門性が高い |
意思決定スピード | 速い | 比較的遅い |
会社の安定性 | 比較的低い | 高い |
給与・福利厚生 | 柔軟性がある | 充実している |
この表からもわかるように、スタートアップと大企業では、それぞれ異なる強みを持っています。スタートアップは、大企業の強みと真っ向からぶつかるのではなく、自社ならではの魅力を最大限にアピールすることで、求職者にとって魅力的な選択肢となり得るのです。
スタートアップ企業が採用活動を進める前に知っておくべきこと
スタートアップ企業が採用活動を進める前に把握すべきことを2つまずは説明します。
- 採用活動の大枠の流れ
- 採用活動で重要なのが「スピード」
まずは採用活動の大枠の流れについて
採用活動を始めるにあたって、まずはその全体像を把握しておくことが重要です。採用活動は、単に求人を出して面接をするだけではありません。採用したい人物像を明確に定義するところから始まり、その人物に響くような求人票の作成、適切な媒体の選定、応募者への対応、そして入社後のオンボーディングまで、一連のプロセスとして捉える必要があります。特に重要なのが、採用の目的を明確にすること。「なぜ今、人を採用する必要があるのか」を経営陣やチームメンバーと共有し、具体的な目標を設定することで、採用活動の方向性が定まり、効率的な運用が可能になります。また、採用活動は企業のブランドイメージを形成する重要な機会でもあります。応募者一人ひとりへの丁寧な対応や、迅速なコミュニケーションは、たとえ採用に至らなかったとしても、企業のファンになってもらうための大切な一歩となります。
採用活動で重要なのが「スピード」
IT/Web業界における採用活動では、書類選考から内定、そして入社承諾までの期間が「採用における重要なKPI」の一つとして捉えられています。
多くの企業では、このプロセスが2週間から1ヶ月ほどで完了するのが一般的ですが、これは面接日程の調整なども含めた上で、いかに迅速に選考を進めるかが重視されていることの表れです。
特にスタートアップやアーリーフェーズの企業では、この「採用スピード」がさらに顕著になります。応募当日に書類選考を通過させ、翌日には一次面接と二次面接を連続して実施し、その場で内定を出し、入社承諾を得るという、わずか1日でプロセスを完結させるケースも稀ではありません。
これは、優秀な人材ほど複数の企業からアプローチを受けており、採用プロセスに時間をかけると他社に先を越されてしまうリスクが高まるためです。つまり、「採用決定までの期間」をいかに短縮できるかが、「採用競争力を高める上での隠れた鍵」となっているのです。
多くの求職者は複数の企業に応募しているため、選考プロセスが遅いと、他社に優秀な人材を奪われてしまうリスクが高まります。また、選考期間が長いと、求職者のモチベーションが低下し、途中で選考を辞退してしまう可能性もあります。そのため、選考プロセスの各ステップにおいて、いかに迅速に、かつスムーズに対応できるかが、採用成功の鍵を握ると言えます。
スピードを意識することは、応募者への誠意を示すことにも繋がります。自身のキャリアを真剣に考えている求職者に対して、企業側も真剣に向き合っている姿勢を伝えることができるからです。具体的には、書類選考の結果や面接日程の連絡を迅速に行うこと、面接後にはできるだけ早くフィードバックを伝えることなどが挙げられます。
以下の表は、一般的な採用プロセスの各ステップにおける理想的な対応スピードを示しています。
プロセス | 理想的な対応スピード |
書類選考 | 24時間以内 |
面接日程調整 | 1時間以内 |
スカウト返信 | 3時間以内 |
面接結果連絡 | 24時間以内 |
内定通知 | 面接から1週間以内 |
この表を参考に、自社の採用プロセスを見直し、改善していくことで、応募者の満足度を高め、優秀な人材の獲得に繋がるでしょう。
書類選考は「24時間以内」を心がける
書類選考は「24時間以内」を心がけましょう。応募者の熱意が高い応募の初期段階で迅速な対応をすることで、応募者のモチベーションを維持し、良い関係を築くことができます。書類選考が遅れると、その間に応募者が他社の選考に進み、内定が出てしまうことも珍しくありません。特に優秀な人材は複数の企業からオファーを受けることが多いため、対応の遅れは大きな機会損失となります。
迅速な書類選考を実現するためには、事前に明確な選考基準を設けておくことが重要です。どのようなスキルや経験、マインドを持った人材を求めているのかを具体的に定義し、選考担当者間で共有しておくことで、担当者ごとの判断のばらつきを防ぎ、スピーディーな判断が可能になります。
また、書類選考のプロセスを効率化することも有効です。例えば、応募書類を管理するツールの導入や、自動返信メールの設定などを行うことで、手作業による負担を減らし、選考に集中できる環境を整えることができます。
日程調整のファーストアクション後は、基本即レス。「1時間以内」
書類選考を通過した応募者に対して、基本即レスで「1時間以内」には返信することです。最初の面接日程調整は、採用活動における次の重要なステップです。ここでもスピードが鍵を握ります。ファーストアクションから1時間以内に返信することを目標にしましょう。
日程調整の遅れは、応募者にとって「この企業は本気で採用する気がないのでは?」という不信感に繋がる可能性があります。また、応募者がすでに他社で選考が進んでいる場合、日程調整の遅れが原因で面接の機会を逃してしまうこともあります。
迅速な日程調整を実現するためには、あらかじめ面接官のスケジュールを確保しておくことが不可欠です。面接官の予定を事前にブロックし、応募者が提示した複数の候補日からすぐに調整できる体制を整えましょう。
日程調整ツールを導入することも効果的です。ツールを利用すれば、応募者が直接面接官の空き時間を確認し、希望する日時を選択できるため、メールのやりとりを大幅に削減できます。
スカウトからの返信は「3時間以内」を心がける
ダイレクトリクルーティングなど、企業側から候補者に直接アプローチするスカウト採用においても、スピードは非常に重要です。スカウトを送った候補者から返信があった場合、3時間以内に返信することを心がけましょう。
スカウト返信が遅いと、候補者の「この企業はどのような会社なのだろう」という興味や期待感が薄れてしまいます。また、スカウトメールに返信してくれた時点で、候補者はあなたの企業に少なからず興味を持っています。その熱意が冷めないうちに、迅速かつ丁寧なコミュニケーションを取ることが、次のステップに進むための第一歩となります。
返信を迅速に行うためには、スカウト業務の担当者を明確にし、担当者がすぐに返信できるような体制を構築しておくことが大切です。また、事前に複数の返信テンプレートを用意しておくことで、個別の状況に合わせてスムーズに対応できるようになります。
転職活動における候補者の平均応募数
転職活動における「平均応募数」は8~12社程度が一つの目安ですが、調査や年齢層によって若干の違いがあります。
主な調査結果
マイナビの調査では平均8.4~9.0社への応募が一般的な数字とされています。リクルートやdodaの調査では、転職成功者の平均応募数が18~19社というデータもあり、特に20~30代では10社以上、40代以上になると10社を超えるケースが増える傾向です。
年齢別の傾向
- 20代では8~12社程度。
- 30代は10~19社ほど応募するケースが多くなります。
- 40代以上はさらに増えて、平均で12~23社程度になる場合もあります。
その他ポイント
- 内定獲得までの応募目安として、10社程度に応募するのが現実的という意見が多いです。
- 応募数は業界や転職時期、自身の経歴や希望する条件にも大きく左右されます。
転職活動の応募数は平均8~19社という幅があり、年齢層や状況によって増減しますが、10社程度を目安に考えておくのが一般的です。
採用活動においては、自社内のことだけではなく候補者さんの状況も把握しておく必要があります。候補者さんは貴社の他に数十社進んでいる可能性があるということを理解しておくとよいでしょう。
この平均応募数から見えてくるのは、一人の候補者が複数の企業の選考を同時に進めているという事実です。つまり、採用活動は自社だけではなく、多くの競合企業との競争の場であるということ。候補者から選ばれるためには、自社の魅力を的確に伝え、迅速かつ丁寧な対応を心がけることが不可欠となります。
採用担当者は、候補者が抱える不安や期待を理解し、その一つひとつのプロセスにおいて、寄り添う姿勢を見せることが重要です。例えば、選考フローを明確に示したり、面接のフィードバックを迅速に伝えたりすることで、候補者の企業に対する信頼感は高まります。このように、候補者の視点に立って採用活動を進めることが、激しい採用競争を勝ち抜くための重要なポイントと言えるでしょう。
スタートアップ採用戦略について
採用活動を成功に導くためには、闇雲に求人を出したり、面接を実施したりするだけでは不十分です。自社を深く理解し、その魅力を最大限に引き出す戦略的なアプローチが不可欠となります。
採用戦略を立てる上で、ぜひ活用していただきたいのが、マーケティングで用いられるフレームワークです。
3C分析
Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点で事実を整理し、マーケティング環境を抜けもれなく把握する方法です。採用活動に当てはめると、以下のようになります。
- Customer(採用ターゲット): どのようなスキルや経験を持った人材を求めているのか、彼らが転職先として何を重視しているのかを明確にします。
- Competitor(競合): ターゲット人材が応募する可能性のある他社はどこか、その企業の強みや求人の特徴を分析します。
- Company(自社): 自社の強み(働く環境、企業文化、事業内容など)と弱みを客観的に洗い出します。
この分析を行うことで、自社が採用市場でどのような位置づけにあるのか、競合にはない独自の魅力は何かが明確になります。
SWOT分析
縦軸に内部環境/外部環境、横軸にプラス/マイナスをとり、4象限をつくることで、自社の状況をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)に分類する方法です。
- 強み(Strength): 自社の独自の技術、魅力的な企業文化、優秀な社員など。
- 弱み(Weakness): 知名度の低さ、給与水準の低さ、採用体制の未整備など。
- 機会(Opportunity): 業界の成長、新たな事業領域への参入、特定の職種のニーズの高まりなど。
- 脅威(Threat): 競合企業の好待遇、人材の流動性の高まり、景気の悪化など。
これらの分析を通じて、自社の強みを最大限に活かし、弱みを補うような採用戦略を立てることが可能になります。例えば、「知名度が低い(弱み)」という課題に対し、「社員インタビューの発信(機会)」を強化することで、「企業の魅力を伝える(強み)」といった具体的な施策に落とし込むことができるのです。
採用ブランディングについて
採用活動を「企業の魅力」で差別化していく、これが採用ブランディングです。
採用ブランディングとは、単に求人広告を魅力的に見せることではありません。「私たちはどんなミッションを掲げ、どのような価値観を大切にしているのか」「どんな人たちと一緒に働きたいのか」といった企業のアイデンティティを明確にし、それを一貫して発信していく活動です。
採用ブランディングの最終的なゴールは、候補者に「この会社で働きたい」「この人たちと一緒に働きたい」と心から感じてもらうことです。そのためには、企業のありのままの姿を、誠実かつ魅力的に伝えることが重要です。
具体的な手法としては、自社ブログやSNSで社員のインタビューや日々の業務風景を積極的に発信したり、採用ピッチ資料を作成して社内の雰囲気を伝えたりすることが挙げられます。また、カジュアル面談などを活用し、一方的な説明ではなく、候補者と対話する場を設けることも非常に有効です。
特に、知名度の低いスタートアップ企業にとっては、採用ブランディングが採用成功の鍵を握ります。大手企業にはない独自の魅力を言語化し、ターゲットとなる人材に響くような形で発信することで、給与や知名度といった表面的な条件だけでなく、企業の「パーソナリティ」に共感した優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。
採用マーケティングについて
採用マーケティングとは、マーケティングの手法を採用活動に応用したものです。具体的には、採用ターゲットを「顧客」、求人を「商品」と捉え、ターゲットが求めている情報や体験を最適な形で提供していく活動を指します。
このアプローチは、単に求人情報を発信するだけでなく、潜在的な候補者が自社に興味を持つ段階から、応募、選考、そして入社後のオンボーディングに至るまで、一連のプロセス全体をデザインすることが重要です。
たとえば、ターゲット人材がどのような情報に触れて転職活動をしているのかを理解し、彼らが日常的に利用するメディア(SNS、ブログ、専門サイトなど)で積極的に情報発信を行います。また、「求人広告」という一方的な情報提供ではなく、「会社説明会」や「カジュアル面談」といった双方向のコミュニケーションの場を設けることも有効です。
これにより、候補者は応募する前から企業への理解を深めることができ、企業側もミスマッチを防ぎながら、志望度の高い候補者との接点を持つことができます。
ステップ | 採用マーケティングの具体的な活動例 | 目的 |
認知 | SNSでの情報発信、採用ブログの運営 | 企業の存在を知ってもらう |
興味・関心 | 採用ピッチ資料の公開、社員インタビュー | 企業の魅力を感じてもらう |
応募・選考 | 丁寧なコミュニケーション、迅速な対応 | 志望度を高める |
入社後 | オンボーディングプログラム、定期的な面談 | 定着率を向上させる |
このように、採用マーケティングは、長期的な視点で採用活動を捉え、「自社にとって最適な人材に、自社を選んでもらう」ための仕組みづくりに貢献します。
ターゲット層(求人要件)
スタートアップ採用活動を始めるにあたり、最も重要なステップの一つが、「どのような人材を求めているのか」を明確にすることです。この工程が曖昧なまま求人募集を開始してしまうと、応募が来なかったり、ミスマッチが多発したりといった問題が生じる可能性があります。求人要件は大きく分けて二つに分類できます。
労働条件としての求人要件
これは、給与や勤務地、勤務時間、休日、福利厚生など、法律や企業の規定に基づいた客観的な条件です。これらの条件は、求職者が転職先を選ぶ上でまず最初に確認する項目であり、応募のハードルにもなり得ます。例えば、「給与:月給25万円〜」や「勤務地:東京都渋谷区」、「年間休日120日以上」といった形で具体的に記載します。これらの条件は、自社の経営状況や業界の相場、競合他社の条件などを考慮して設定する必要があります。特に、給与や役職、待遇などは、候補者が「自分は評価されている」と感じる上で非常に重要な要素です。一般的な相場から大きく乖離していないか、他社と比べて見劣りしないかなどを入念に検討することで、応募を増やすことができます。
人材要件としての求人要件(ペルソナ設計)
こちらは、職務経験やスキル、資格といった客観的な能力だけでなく、パーソナリティや価値観、志向性など、より内面的な部分に焦点を当てた要件です。これを「ペルソナ設計」と呼びます。ペルソナとは、マーケティングの世界で使われる概念で、自社が採用したい人物像を、まるで実在する一人の人間かのように詳細に描き出すことです。
例えば、「名前:山田 太郎」「年齢:32歳」「現職:Web開発エンジニア」「転職理由:新しい技術に挑戦したいが、今の会社では機会がない」「志向性:自ら課題を見つけて解決していくことにやりがいを感じる」といった具体的な人物像を設定します。
このようにペルソナを設計することで、「誰に向けてメッセージを発信するのか」が明確になります。求人広告の文言や写真、面接で話す内容など、すべてのコミュニケーションがこのペルソナに響くように調整できるのです。結果として、自社にマッチした人材からの応募が増え、ミスマッチを大幅に減らすことができます。
求人要件の比較 | 労働条件としての求人要件 | 人材要件としての求人要件(ペルソナ設計) |
主な内容 | 給与、勤務地、勤務時間、休日、福利厚生など | スキル、経験、パーソナリティ、価値観、志向性など |
目的 | 応募のハードルを下げる、基本的な条件を提示する | 企業の文化や仕事内容にマッチした人材を惹きつける |
効果 | 応募数の確保、条件面のミスマッチ防止 | 応募の質の向上、入社後の定着率向上 |
スタートアップ採用 まとめ
これまでスタートアップ採用採用における重要なポイントをいくつかご紹介してきました。スタートアップ採用は単に人を集める活動ではなく、企業の未来を創るための戦略的な経営活動です。
まず、スタートアップ採用活動を成功させるには、「スピード」が不可欠であることを強調しました。求職者は複数の企業に応募しているため、書類選考や面接の日程調整、合否連絡などを迅速に行うことが、優秀な人材を確保する上で極めて重要です。また、このスピード感は、候補者に対する誠意を示すことにも繋がり、企業への信頼感を高める効果があります。
次に、候補者の視点に立つことの重要性について述べました。転職活動における平均応募数が示すように、一人の候補者は複数の企業と同時に選考を進めています。この競争を勝ち抜くためには、自社の魅力を的確に伝え、選考フローを明確にするなど、候補者の不安や期待に寄り添う姿勢が不可欠です。
そして、「採用戦略」と「採用ブランディング」の重要性についても解説しました。3C分析やSWOT分析といったマーケティングのフレームワークを活用し、自社の強みや弱み、採用市場での立ち位置を客観的に把握すること。そして、その分析結果をもとに、企業のミッションや価値観を明確にし、一貫して発信していくことが、自社にマッチした人材を惹きつける鍵となります。
最後に、「ペルソナ設計」を通して、採用したい人物像を具体的に描き出すことの重要性をお伝えしました。これにより、求人広告や面接におけるメッセージが、ターゲットに深く刺さるようになり、ミスマッチを減らすことができます。
採用活動は、これらの要素が複雑に絡み合う奥深いものです。「スピード」「候補者視点」「戦略」「ブランディング」「ペルソナ」という5つの要素を意識し、一つひとつ丁寧に取り組むことが、採用成功への確実な道と言えるでしょう。